日英翻訳コンテスト

2018年7月29日 毎日新聞
見出し

村上春樹氏、オウム13人死刑執行に「『反対です』とは公言できない」

本文 作家の村上春樹氏は、1995年に起きた地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめた「アンダーグラウンド(Underground)」を執筆する過程で、被害者や遺族の苦しみに触れた体験から、「死刑制度に反対とは、少なくともこの件に関しては、簡単に公言できないでいる」としている。

一方、今回の執行に「事件の幕引きにしよう」という意図や「死刑という制度をより恒常的なものにしよう」というのであれば、許されるべきではないと述べた。

総評

出題者から皆様へ

先進国で死刑制度を継続しているのは日本とアメリカの一部の州だけで、欧州ではすべての国が廃止しています。過去にも国連の人権理事会やEU、アムネスティー・インターナショナルが、度々日本政府に対して死刑制度を廃止するように勧告してきました。

冤罪の問題、人権の問題、被害者側へのサポート、福祉制度や更生など様々な要素が絡み合った問題であり、一度は誰もが自分で納得が行くまで調べ、考察し、自分の意見を持つべきでしょう。こうした影響力のある文化人の発言によって、議論への道が開かれるきっかけになればと思います。

引用部分だけでなく寄稿内容全体が読めれば、筆者の意図がより正確に汲み取れたかもしれません。全体像が見えることでより筆者の意図を的確に反映した形で英訳できるはずですが、翻訳者の役割としては、それがなくても限りなく近いニュアンスで訳す努力が必要になります。

詳しくは解説・講評ページで解説していきます。

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