総評
出題者から皆様へ
第174回の課題は相当難しかったのか、成績が全体的に芳しくありませんでした。
次回の頑張りを期待したいところです。
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さて、シリーズの「構造論と機能論」について考えてみましょう。
今回は、「述語の構造的機能によって生まれた目的語と補語について、目的語と補語の視点から述語と主語との関係について」です。
前回は述語の構造的機能を取り上げ、この機能が如何に科学的な文章を生み出すかについて日本語の構造的側面と比較しました。
今回はその述語の構造的機能によって生まれた目的語と補語は述語や主語に対して如何なる繋がりがあるのかという問題です。言うまでもなく、英語は「語順を重視した語順の言語」ですが、その根拠はこの述語に因る構造的機能によるものです。
従って、それを述語との関係で見ると、目的語も補語も述語から生じたものであるために位置関係は述語の「後方」に位置づけられることになります。もし、「前方」に位置づけられれば(nexusの法則から、述語の前方ではなく主語の前方、すなわち文頭に位置づけるという意味です。)、もはや基本的な構造を破壊することになり、当然のことながら仮に正しい英文構造であっても基本構造によって伝達される意味内容とは異なった意味内容が伝達されることになります。
この現象は、英語ほど秩序だった構造を持たない日本語に当てはめると、単なる「ニュアンス」の違いにすぎないことになります。
さらに、目的語や補語は述語の構造的機能から生まれたために、目的語や補語の位置関係が変化することによって、目的語や補語を生み出した母体である述語にも当然のことながら構造的に何らかの影響を及ぼすことになるのです。
要するに、母なる述語は目的語と補語との間にある意味で「一心同体」の関係が形成されていることになるからです。この関係についてはここでは詳述いたしません。
このことから改めて日本語と比較してみると、日本語は「ことばの意味」とことばとことばを繋ぐ「助詞の働き」によって意味内容を伝達する言語であるために、語順の変化は「ニュアンス」を変えるだけで、英語のように伝達の意味内容を根本的に変えるものではない、ということになります。
その意味で、英語は単語(ワード)の意味だけで意味内容を形成するのではなく、その単語が持っている構造的機能(他の単語との関係)や構造的な位置関係の変化によっても(さらには、カンマ記号などの記号によっても)意思の伝達内容の形成に重大な影響を及ぼしていることになるのです。
次回は、「主語」との関係で話したいと思います。
ご期待ください。