総評
出題者から皆様へ
今回は、述語の持っている「構造的機能」、すなわち自動詞と他動詞の構造的な働きは具体的にはどう働くのかについて考えましょう。
言うまでもなく、自動詞は補語を取らない完全自動詞と補語を取る不完全自動詞があります。そして、他動詞は目的語を1つ取るものと2つ取るもの、さらには目的語の後ろにさらに補語を取るものといった具合に3種類あります。
これを合わせて、一般的に「5文型」と呼んでいます。
ところで、言葉の表現法、すなわち表現構造は文化によって大きく2種類に分けられます。すなわち、動詞を前面に持ってくるか否かです。しかし、それは表現法の問題であって表現内容は動詞の位置関係にかかわらずどの言語も手前上は同じなのです。
では、そこには何かの文化的相違が見いだせるのかということです。ここが大問題なのです。例えば英語で言うと、動詞の位置関係によって動詞以外の文要素の関係が新たに生まれてくることになるのです。もう少し具体的に言うと、もし日本語のように動詞が文末に位置すると、動詞と目的語との関係が希薄になると同時に、目的語と主語との関係も曖昧になるということです。これは、動詞の自動詞化と他動詞化の峻別が構造的に存在しないことに原因があるのです。これはさらに、主語との関係にも現れて主語と述語と目的語相互の独立と関係が曖昧になり、その分表現法が限定され、結果として複雑な内容をシンプルにして正確に伝達できないことになります。
つまり、日本語は異常なほどに単語の意味や語句のニュアンスに左右され、単なる「助詞」が構造的に大きな働きをするようになり、結果的に非科学的な表現内容になるのです。つまり、英文では一文で表現できるにも関わらず、日本語では数文に分けて表現する必要に迫られることにもなるのです。
次回は述語の構造的機能によって生まれた目的語と補語について、目的語と補語の視点から述語と主語との関係について考えてみましょう。
ご期待ください。
ーーーーーーーーーお知らせーーーーーーーーー
拙著「実践から学ぶ~(翻訳の理論書)」を3年間にわたってメルマガサイト「まぐまぐ」にて公開して参りましたが、第3巻までで一区切りつきましたので今月27日(水)をもちまして公開を終了致します。
その間沢山の読者の方々にご愛顧いただき誠にありがとうございました。
なお、第4巻以降は引き続き当翻訳サイトにて順次販売して参ります。
今後ともご購読のほど宜しくお願い申し上げます。
筆:斉木