総評
出題者から皆様へ
今日は4月2日(火)、日本の学校では全国一斉の新学期の始まりであると同時に、来年から大学入試制度がセンター試験から共通テストに代わる前年度の始まりでもあります。
一言でいえば、「暗記中心の学習から思考力の学習へ」というグローバル志向の入試に代わるその前年度ということです。しかし、実際的には暗記に頼った伝統的な学習の仕方を止めて、口では簡単に言えますが、そうそうたやすく思考力学習に代えることなどできません。なぜなら、これまでの非科学的な暗記学習こそが我々の文化に根差した伝統の学習法だったからです。
新しい共通テストの思考力を求める記述問題といっても、結局暗記による知識を要領よくまとめるいわゆる「官僚型の作文」を求めることになってしまい、間違いなく掛け声倒れに終わるでしょうね。
最大の問題は英語への対応でしょう。英文を読んだり書いたり、英語を聞いたり話したりを求められると、人によって大きな格差が生まれ、その格差を埋めるためには学力の程度ではなく、環境に大きく影響されることになります。特に、「聞いたり話したり」は生活環境に直結しているからです。海外の学校へ留学したり、欧米人と生活や学習を共にできる人は経済的に恵まれた人ができることだからです。
かといって、英文を「読んだり書いたり」する学習は、日本語の場合でもかつて「文盲の一掃」の歴史があるように非常に厄介で、異文化の英語であるためになおさら厄介であるのは間違いありません。
結局、「赤信号、皆で渡れば青信号」という自分を守ってくれるものが何もない日本社会の中では、悲しいかな「自己防衛」という手段しか残されていないのです。
この企画は、まさにその「自己防衛」のための数少ない学習の機会ですから大いに利用してもらいたいですね。
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今回の解説は、次の通りです。
第1段落の"Congress passed the National Emergencies Act, which allows a president to declare a national emergency if he or she thinks there is a threat to the country’s security."の表現法です。
解説ページを参照してください。